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バレエ鑑賞メモ:英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ「眠れる森の美女」

5月 22nd, 2011 — 10:31pm

初めてのバーミンガム・ロイヤル・バレエ。ロホを観たくて今日のチケットを取った。日曜の昼ということもあってか、ほぼ満席。

幕が開くとそこには宮廷画の世界が繰り広げられていて、目を見張る。重厚感があるシックな舞台装置と衣装。さすがロイヤル。眠りはこうじゃなきゃ!

踊りも、マイム多めのオリジナルのバージョンで、これまた英国らしい。
なんと、リラの精が踊らない。カラボスも女装ではないし、化け物的なメイクでもない。リラとカラボスはあくまで裏表の対な存在であることが強調されている。カーテンコールの時も、2人一緒に出てきてお互い目で牽制し合いながらレヴェランスをしていた。新しい!

リラの精のヴァリエーションである踊りは『喜びの精』が踊っていて、セリーヌ・ギッテンス?美しく上手だった。他の精もまずまずと言ったところ。ちょっと気になったのは、男性のコールドで、一列に並んだザンレールの着地が少々見苦しい。コールドのレベルがいまいちか。

タマラ・ロホは、キラキラ輝いていて、とても素敵なオーロラだった。常々思うのだが、ロホは映像より実物が断然良い。芸能人でも、写真やテレビで観るより生で観たらオーラがあって何倍も素敵、という人がいるけど、そんな感じ。映像でロホのローズアダージオを観た時は、バランスをこれみよがしに見せつけたり、4回転も回るなんて姫じゃない!と思ったけど、今日生で観れば、ちゃんと可愛らしいお姫様だった。特に印象に残ったのは、アチチュードプロムナードの後、手を話してアロンジェでパっとバランスを取ったところ。なぜか胸にグっと込み上げてくるものがあり、涙が出そうになった。言葉では説明出来ないけれど、幸福感があった。グラグラするところもあったけど、それが逆にオーロラの初々しさに繋がるってこともある。例えばヴィシニョーワは、美しかったけど貫禄がありすぎて姫に見えなかった。

しかし、2幕の後半は睡魔との闘いに。イアン・マッケイはハンサムな王子様だが、丁寧に踊りすぎているのか、調子があまり良くないのか、キレがいまいち。
さらに、リラの精に導かれて城に着いてからの流れが恐ろしく冗長で退屈・・・。普通は王子とカラボスが闘うところも、リラの精があっさりとカラボスを撃退し、王子は単なるキスするためだけの人で、なんだかなあ。

それでも3幕のグランパドドゥは二人とも完璧だったし、青い鳥はポールドブラが固すぎて鳥に見えないという欠点はあったものの、他の踊りはまずまず楽しめて、ゴールドの紙吹雪が舞う中でのラストは感動的。熱く熱く拍手を送りました。

だってさ、カンパニー全体で来日してくれただけで本当にありがたいし、涙が出そうになるほど感激するよ。『ニコラ・ル・リッシュとパリのエトワールたち』延期のニュースがあったばかりだから余計に、かな。(3.11から2ヶ月以上経ったのに、未だ危機的状況が続く日本の悲しさよ・・・。)ほんと、目を背けたくなるような現実の中で、バレエだけが救いだ。素晴らしい一時をありがとう。

音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ、ピーター・ライト
演出:ピーター・ライト
衣裳・装置:フィリップ・プラウズ
照明:マーク・ジョナサン
国王フロレスタン二十四世:ヴォルフガング・シュトルヴィッツァー
王妃:ヴィクトリア・マール
オーロラ姫:タマラ・ロホ
フロリムンド王子:イアン・マッケイ
カタラビュット(式典長):デヴィッド・モース
カラボス:マリオン・テイト
リラの精:アンドレア・トレディニック
– プロローグ —
美しさの精:ナターシャ・オートレッド
お付きの騎士:ジョセフ・ケイリー
誇らしさの精:アランチャ・バゼルガ
お付きの騎士:ファーガス・キャンベル、
謙虚さの精:レティシア・ロ・サルド
お付きの騎士:ジョナサン・カグイオア
歌の精:ジャオ・レイ
お付きの騎士:クリストファー・ロジャース=ウィルソン
激しさの精:ダスティ・バットン
お付きの騎士:ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ
喜びの精: サマラ・ダウンズ
お付きの騎士:タイロン・シングルトン
カラボスのお付きの騎士:
ジェームズ・バートン、益子 倭、ショーン・マクラフリン、ナサナエル・スケルトン、
オリヴァー・ティル、ルイス・ターナー
リラの精のお付き:
ジェンナ・キャロル、ローラ・ダベンポート、淵上礼奈、ジェード・ヒューゼン、
アビゲイル・プルーダムズ、ローラ・パーキス
– 第1幕 —
4人の王子:ロバート・パーカー、ジェイミー・ボンド、ドミニク・アントヌッチ、タイロン・シングルトン
オーロラ姫の友人:
ジェンナ・キャロル、ローラ・ダベンポート、淵上礼奈、ジェード・ヒューゼン、
アビゲイル・プルーダムズ、ローラ・パーキス
ジェード・ヒューゼン、ニッキ・モファット、ローラ・パーキス
ガーランド:
アランチャ・バゼルガ、サマラ・ダウンズ、セリーヌ・ギッテンス、イヴェット、ナイト、レティシア・ロ・サルド、
ジェンナ・ロバーツ、ジョナサン・カグイオア、マティアス・ディングマン、ロバート・グラヴノー、
ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ、クリストファー・ロジャース=ウィルソン、トム・ロジャース
– 第2幕 —
伯爵夫人: ジャン・イジン
王子の側近:ジョナサン・カグイオア
– 第3幕 —
パ・ド・カトル:アランチャ・バゼルガ、ローラ・パーキス、マティアス・ディングマン、オリヴァー・ティル
長靴をはいた猫と白い猫:ロバート・グラヴノー、カリー・ロバーツ
青い鳥とフロリナ王女:ジョセフ・ケイリー、ナターシャ・オートレッド
赤ずきんと狼:ジャオ・レイ、ヴァレンティン・オロヴィヤンニコフ
グラン・パ・ド・ドゥ:タマラ・ロホ、イアン・マッケイ
◆上演時間◆
プロローグ 13:30-14:10
【休憩】 15分
第1・2幕 14:25-15:30
【休憩】 15分
第3幕 15:45-16:25

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3 comments » | @Tokyo, ballet

バレエ鑑賞メモ:東京バレエ団「ラ・バヤデール」

4月 16th, 2011 — 11:03pm

友達が行けなくなったからと安く譲ってくれたチケットで、久しぶりにバレエを観に上野へ!土曜の昼間だからか、会場はかなり埋まっているように見えた。 熱気もムンムン。

しかし、開演予定時刻を10分以上過ぎても始まる気配がない。どうしたのかと思っていたら、NBSの人が出てきて「指揮者が到着しないため、コンサートマスターが代わりに指揮をします」と!午前中の余震の影響なのか、電車遅延なのか、寝坊なのか分からないが、珍しいこともあるもんだ!ていうか、コンサートマスターすごい。。。そして、今始まらんという時に再びNBSの人登場。「指揮者が到着いたしました」とのこと。いやぁ、良かった。指揮者が姿を現すと、笑いと共に大きな拍手が送られた。遅刻しても来てくれただけで嬉しいよ。

そして幕が開く。

今回の公演、サラファーノフが怪我で降板し、フォーゲルはドイツ政府の渡航自粛勧告により来日出来ずで、NBSは本当に調整が大変だったと思うのね。まだ地震から1ヶ月ちょっとという時期でもあり中止にしてしまってもみんな納得はしただろうに、別のゲストダンサーを呼んできて予定通り開催してくれたことは本当にありがたい。そして、地震と原発で危険な国になってしまった今の日本に来ることを決心してくれたゼレンスキーとゴールディングにも、心の底から感謝する。だって、こんな状況だからこそ、これまで以上に芸術を、バレエを必要としているんだもの。幕が上がってバヤデールのセットを見た時、ここには3.11以前と変わらない世界がある、という感動が湧いてきて、思いがけず泣きそうになった。

舞台の感想は・・・。何というか・・・。これまで経験したことがない新しいバヤデールという感じ?
通常、バヤデールって『清楚で一途な、恋する乙女ニキヤ』と『お金と家柄があり、華やか美人のガムザッティ』、『目先の地位と美貌に目が眩んだ愚かな男、ソロル』の3角関係で成り立っていると思うんだけど、今日のは『チヤホヤされる自分が大好き、頭が弱くて気が強い、若い現代っ子ニキヤ』対『しっかりモノで大人の女性ガムザッティ』のように見え、ソロルがガムザッティを選んだことについても「付き合うのは可愛くて若い女の子、結婚するならちょっと地味でもしっかりした姐さん女房がいいよね、あんた正しいよ」といつになく納得感あり。
これはひとえに水香さんの薄っぺらな割に大げさな表現と、プンとむくれたような子供っぽくて不満げな表情と(これは元々の顔立ちのせいもあるか)、しばしば散見される雑なポールドブラのせいだと思われる。水香さん、久しぶりに見たけどやっぱり苦手だ。。。特に1幕は受け入れ難かった。あれで本当にインドの舞姫のつもりなんだろうか。余計な表現がない2幕、3幕の方はまだ見れた。そうそう、3幕の最後、グランパドシャの連続ではけていくところで、ツルツルリンと滑ってバランスを崩しヒヤッとした。気をつけて!

それから、大僧正も異質でこれまたビックリ。ここまで恋に夢中になってしまう大僧正はあまりいないんじゃないかしら。ニキヤのことに必死過ぎて大僧正という立場を完全に忘れてしまったような印象を受けたけど、いくら恋に落ちていても、大僧正は大僧正。走り方や仕草にもう少し威厳や「らしさ」があっても良かったのではないかと。

ゴールディングは素晴らしかった!歩くだけ、走るだけで何でこんなに美しいの~!柔らかでダイナミックな踊りを堪能しました。顔がめっちゃ小さいし、良い人そうだし(このタイミングで日本に来てくれたんだから良い人でない訳ない)、すっかりファンに!

ブロンズ像もキレのある回転がブラボー。コールドも揃っていてとてもキレイだった。

カーテンコールでは全てのダンサーに(特にゴールディングに)、客席から感謝の気持ちを込めた熱い熱い拍手が送られていた。オケも全員立ち上がり舞台に拍手をしていた。

ゲストダンサーの変更や指揮者の遅刻などアクシデントはありつつも、沢山の人の好意と柔軟な対応で実現された温かい公演だった。日本の国もこれからまだまだいろんなアクシデントに見舞われるだろうけど、みんなの好意と柔軟さで良い結末に落ち着くと良いな、と思ったのでした。

東京バレエ団
「ラ・バヤデール」
◆主な配役◆
ニキヤ(神殿の舞姫):上野水香
ソロル(戦士):マシュー・ゴールディング
ガムザッティ(ラジャの娘): 田中結子
ハイ・ブラーミン(大僧正): 後藤晴雄
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):高橋竜太
アヤ(ガムザッティの召使):松浦真理絵
ソロルの友人:柄本弾
ブロンズ像:松下裕次
【第1幕】
侍女たちの踊り(ジャンベの踊り):矢島まい、川島麻実子
パ・ダクシオン:
高村順子、岸本夏未、阪井麻美、大塚怜衣
西村真由美、乾友子、小川ふみ、二階堂由依
柄本弾、森川茉央
【第2幕】
影の王国(ヴァリエーション1):岸本夏未
影の王国(ヴァリエーション2):佐伯知香
影の王国(ヴァリエーション3):高木綾
指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

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