バレエ鑑賞メモ:東京バレエ団「ラ・バヤデール」
友達が行けなくなったからと安く譲ってくれたチケットで、久しぶりにバレエを観に上野へ!土曜の昼間だからか、会場はかなり埋まっているように見えた。 熱気もムンムン。
しかし、開演予定時刻を10分以上過ぎても始まる気配がない。どうしたのかと思っていたら、NBSの人が出てきて「指揮者が到着しないため、コンサートマスターが代わりに指揮をします」と!午前中の余震の影響なのか、電車遅延なのか、寝坊なのか分からないが、珍しいこともあるもんだ!ていうか、コンサートマスターすごい。。。そして、今始まらんという時に再びNBSの人登場。「指揮者が到着いたしました」とのこと。いやぁ、良かった。指揮者が姿を現すと、笑いと共に大きな拍手が送られた。遅刻しても来てくれただけで嬉しいよ。
そして幕が開く。
今回の公演、サラファーノフが怪我で降板し、フォーゲルはドイツ政府の渡航自粛勧告により来日出来ずで、NBSは本当に調整が大変だったと思うのね。まだ地震から1ヶ月ちょっとという時期でもあり中止にしてしまってもみんな納得はしただろうに、別のゲストダンサーを呼んできて予定通り開催してくれたことは本当にありがたい。そして、地震と原発で危険な国になってしまった今の日本に来ることを決心してくれたゼレンスキーとゴールディングにも、心の底から感謝する。だって、こんな状況だからこそ、これまで以上に芸術を、バレエを必要としているんだもの。幕が上がってバヤデールのセットを見た時、ここには3.11以前と変わらない世界がある、という感動が湧いてきて、思いがけず泣きそうになった。
舞台の感想は・・・。何というか・・・。これまで経験したことがない新しいバヤデールという感じ?
通常、バヤデールって『清楚で一途な、恋する乙女ニキヤ』と『お金と家柄があり、華やか美人のガムザッティ』、『目先の地位と美貌に目が眩んだ愚かな男、ソロル』の3角関係で成り立っていると思うんだけど、今日のは『チヤホヤされる自分が大好き、頭が弱くて気が強い、若い現代っ子ニキヤ』対『しっかりモノで大人の女性ガムザッティ』のように見え、ソロルがガムザッティを選んだことについても「付き合うのは可愛くて若い女の子、結婚するならちょっと地味でもしっかりした姐さん女房がいいよね、あんた正しいよ」といつになく納得感あり。
これはひとえに水香さんの薄っぺらな割に大げさな表現と、プンとむくれたような子供っぽくて不満げな表情と(これは元々の顔立ちのせいもあるか)、しばしば散見される雑なポールドブラのせいだと思われる。水香さん、久しぶりに見たけどやっぱり苦手だ。。。特に1幕は受け入れ難かった。あれで本当にインドの舞姫のつもりなんだろうか。余計な表現がない2幕、3幕の方はまだ見れた。そうそう、3幕の最後、グランパドシャの連続ではけていくところで、ツルツルリンと滑ってバランスを崩しヒヤッとした。気をつけて!
それから、大僧正も異質でこれまたビックリ。ここまで恋に夢中になってしまう大僧正はあまりいないんじゃないかしら。ニキヤのことに必死過ぎて大僧正という立場を完全に忘れてしまったような印象を受けたけど、いくら恋に落ちていても、大僧正は大僧正。走り方や仕草にもう少し威厳や「らしさ」があっても良かったのではないかと。
ゴールディングは素晴らしかった!歩くだけ、走るだけで何でこんなに美しいの~!柔らかでダイナミックな踊りを堪能しました。顔がめっちゃ小さいし、良い人そうだし(このタイミングで日本に来てくれたんだから良い人でない訳ない)、すっかりファンに!
ブロンズ像もキレのある回転がブラボー。コールドも揃っていてとてもキレイだった。
カーテンコールでは全てのダンサーに(特にゴールディングに)、客席から感謝の気持ちを込めた熱い熱い拍手が送られていた。オケも全員立ち上がり舞台に拍手をしていた。
ゲストダンサーの変更や指揮者の遅刻などアクシデントはありつつも、沢山の人の好意と柔軟な対応で実現された温かい公演だった。日本の国もこれからまだまだいろんなアクシデントに見舞われるだろうけど、みんなの好意と柔軟さで良い結末に落ち着くと良いな、と思ったのでした。
東京バレエ団
「ラ・バヤデール」
◆主な配役◆
ニキヤ(神殿の舞姫):上野水香
ソロル(戦士):マシュー・ゴールディング
ガムザッティ(ラジャの娘): 田中結子
ハイ・ブラーミン(大僧正): 後藤晴雄
ラジャ(国王):木村和夫
マグダヴェーヤ(苦行僧の長):高橋竜太
アヤ(ガムザッティの召使):松浦真理絵
ソロルの友人:柄本弾
ブロンズ像:松下裕次
【第1幕】
侍女たちの踊り(ジャンベの踊り):矢島まい、川島麻実子
パ・ダクシオン:
高村順子、岸本夏未、阪井麻美、大塚怜衣
西村真由美、乾友子、小川ふみ、二階堂由依
柄本弾、森川茉央
【第2幕】
影の王国(ヴァリエーション1):岸本夏未
影の王国(ヴァリエーション2):佐伯知香
影の王国(ヴァリエーション3):高木綾
指揮: ワレリー・オブジャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団