Archive for 3月 2010


バレエ鑑賞メモ:パリ・オペラ座 ジゼル

3月 20th, 2010 — 8:28pm

うーん・・・うーんと、、やっぱり私はアニエス様が苦手のようです。分かってはいたけれど、やっぱりダメだ~と改めて感じた次第。頭から首、指の先までのラインがどうしても気なる。頭が前に落ちているように見えて、何か詰まった感じ。手首が折れて指先が下を向くのも嫌い。伸びやかに見えない。
踊りのセンスも私の好みとは少々違うみたいで、え!?この振りをそう踊っちゃうの!?という箇所もある。表現的にも、感情の起伏が薄い、覚めた感じが物足りなく思える。しれっとした踊り。一流のダンサーなんだろうとは思うけど、私の感性とは合わないのでした。残念ながら。

今日の1幕も得意の『しれっと節』がしっかり効いた踊りで、ジョゼが素敵にモーションかけてもいまいち反応が薄いジゼル。ドキドキ感もなく盛り上がりもなく、恋をしている乙女には見えなかった(もちろん私の目には、です)。好きそうな素振りをしているけど、本当に好きなんかいな?みたいな。若くも見えなかった。
騙されていたことを知った時の狂女ぶりは凄みがあっておぉお!とオペラグラスを構え直したけれど、それまで恋に落ちているように見えなかったため唐突感があるのよね。第2幕の方が良かったです。重力を感じさせない踊りはさすが。安定したテクニックもさすが。

と、ジゼルに関しては若干辛目の評価なのだが、パリオペのすごいところは、その他のレベルが高いところ。

ジョゼのアルブレヒトは、ラインも美しく、踊りも伸びやかで、嫌味のない好感度の高いプレイボーイで、相変わらず完璧で素敵。 まだまだパリオペで踊って欲しいなあ。

ジョシュア・オファルトのヒラリオンも良かった。2幕、ウィリに踊らされ死に追いやられる場面は、クタクタになるまで踊らされて段々踊りが乱れていく演技を見せるヒラリオンも多いけれど、最後の最後まで正確なポジションで美しく踊っていたのが印象に残った。これはパリオペ流なのか?ジョシュア流?いずれにしても良かったです。あんな風にシェネが回れるようになりたい。

そして、今回一番感動したのがマリ=アニエスのミルタとウィリの皆さんでした。
どっしりとした質感ながらフワフワとしたロマンチックチュチュが美しく、ウィリが整然と並んで静止している場面は、光と影のコントラストが西洋画のようにドラマチック。踊りも丁寧で揃っていて美しく(と言っても、私は某バレエ団のように個性すら消して揃うロボット的コールドは好きではないので、あくまで一人一人の個性と意思を感じさせつつ一つの存在として機能する私好みの「揃う」です)、パリオペのコールドのレベルの高さを感じさせられた。

ミルタは出だしで、ヨッコラショという声が聞こえてきそうなぐらい大儀そうに脚を上げアラベスクパンシェをする様子に、ジ、ジロさん?( ̄0 ̄; )?と一抹の不安を抱いたけれど、それ以降はジュテアントルラッセやソデバスクなどのジャンプも着地の音がほとんどせずしっかり大きい身体をコントロールしていたし、手に表現力があり、女王としての貫禄も感じさせる踊りが素晴らしかった。
今回私が泣いたのは、ジゼルとアルブレヒトじゃなくて、ミルタの踊りだったもんね。ウィリがアラベスクで整然と交差した後さっと二手に分かれ、その間をミルタが駆け込んできたところでうるっと。 自分でも何でここが泣きポイントになったのか訳が分からなかったが、ミルタが勢い良く駆けて来た時に舞台の空気がパッと変わった気がした。その印象の鮮やかさに胸をつかれた。これまで何度も観たシーン、何と言うこともないシーンを、ここまで特別なものに変えたマリ=アニエスに感服。

ジゼル自体に全く感情移入出来ずともここまで感動出来るんだから、やはりパリオペはすごい。主役は良いけど他はね・・・というバレエ団であれば映像で見ていれば良いが、パリオペのように主役以外のダンサー、衣装、セット、ライティングを含めた総合芸術として優れたものの場合、やはり生で観なくては!と改めて思う。

長い長いカーテンコールだった。

今日のキャスト表↓

ジゼルキャスト表

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3 comments » | @Tokyo, ballet

バレエ鑑賞メモ:パリ・オペラ座 シンデレラ

3月 15th, 2010 — 11:03pm

私は基本的にヌレエフ版の振り付けは好きなのだが、シンデレラだけは「現代版?ハリウッド?映画スター?何かな~」と胡散臭く思い、DVDでも見たことがなかった。でも今回は、良い意味で期待を裏切られた。ヌレエフらしい複雑なフォーメーションも、細かくて複雑なステップも、自然にはまってる。コミカルな振り付けも上手い。(もちろん、芸達者でレベルの高いダンサー揃いのパリ・オペラ座だからこそな訳で、コミカルな演技が苦手な日本のバレエ団がやれば目を覆いたくなるような寒いものになるだろうが。)

いや、本当に素晴らしいパフォーマンスだった。キラキラで、美しくて、楽しくて、温かくて、明るくて、よく分からないけどそんな感じ!! DVDも買おうかな、と思った。

今日の日程を選んだのはマチュー・ガニオの映画スターが見たかったからなのだが、彼は期待以上、大満足。映画スターらしい貫禄とオーラがあって、全ての動きから目が離せない。着地の音が全然しない伸びやかなグランジャンプはbravo!クラーク・ゲーブル風の髭も似合ってた。(クラーク・ゲーブルより断然格好良いよ。)

ムッサンも繊細で美しく流れるような動き。身体つきが華奢なので、灰色の衣装に身を包んでいると影が薄くて不幸感が良く出ている。義姉達にいじめられているシーンは本当に気の毒になる。美しく変身した後はスラリとした身体にキラキラのドレスと靴がよく似合い、美人の輝きが全身から溢れて眩しい。
でも・・・全体的に踊りが平坦に見えるのが物足りないんだよなぁ。特に印象に残る踊りがないのよね。だからかな、柳腰の美人が偶然金持ちのイケメンに見初められ幸せになりました、という風に見える。古典的なシンデレラストーリー。もし、ヌレエフが自分の意志で幸せを掴む現代女性(と言っても1930年〜40年代頃だが)を描きたかったのだとしたら、ムッサンはちょっと違うかな、と。

そして、最大の賛辞を送りたいのはドロテ!どちらかと言うとテクニック先行型のイメージを抱いていたので、こんなコミカルな役柄で、いろんな表情を見せられる人だったとは驚いた。一番印象的だったのは、シンデレラの前に階段から降りてきた時の満面の笑み、というかドヤ顔・・・(笑)姐さん、素敵でした。中国の酒場の踊りも妖艶な雰囲気が良かったなー。もちろんテクニックも確か。四回転のピルエットも回っていたような。カーテンコールでも最後の最後まで役柄のままでレヴェランスをしていた。brava!!

一方で、同じく義姉役だったエミリー・コゼットはちょっと物足りない。頑張ってはいたんだけど。コメディエンヌとしてのセンスがドロテにはあって、コゼットにはなかった、ということか。
継母のステファン・ファヴォランも素晴しかった。ポワントも上手いし、面白かった。私の後ろに座ったおばさんは最初から最後までうふふ・・・むふふ・・・と笑ってた。しかし男の人はやっぱり足がデカイね。マチューの膝の上に突き出したフレックスの足がデカっ!これは靴を合わせてみるまでもないだろう・・・、と心の中でツッコミを入れてしまった。

その他のダンサー達もさすがパリ・オペラ座というレベル。コールドも含めた全体的なレベルの高さは世界一だと思う。セットも豪華で良かった。いくら踊りがメインだと言っても粗末なものじゃ興ざめしちゃうものね。カボチャが車に変わるところとか、巨大ゴリラが動くところとか見所満載。

興奮覚めやらぬまま書いてしまったが、本当に良い舞台だったです。カーテンコールの後、閉じた幕の向こうから、ダンサー達の大きな歓声と拍手が聞こえてきた。最終日にこれだけ素晴らしいパフォーマンスをして、踊った側も満足感、達成感があったのでは。

さて、次は一転、悲しみのジゼル。私は20日のマチネ、アニエスのジゼルを観に行く予定。これも楽しみだ♪


本日のキャスト表↓

シンデレラキャスト表

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