読書メモ:ひまわりの海
うー!!何度も読み返したくなる本に久しぶりに出会った。『良い本だけどそのうちブックオフ』な本が多い中で、これは久しぶりの『一生本』だ。
ピアニストの館野泉さんが海外での演奏旅行について、好きな作曲家や曲について、脳溢血で右手が麻痺してしまってから左手で演奏を再開するまでの期間について綴った本なのだが、一つ一つのエピソードがどうというより(もちろん面白いんだけど)、本の持つ性格というか、雰囲気が、とにかく豊かで深くて、明るくて温かくて、音楽への愛情で溢れていて素晴らしい! 音楽を愛する人に共通する空気があるのか。私が習っていたピアノの先生を思い出させて、とても懐かしい気持ちになった。
私は3歳頃から就職するまで、約20年近くピアノを習っていたのだった。地味な練習を繰り返すのが嫌いで決して真面目な生徒ではなかったが、週一回のレッスンには通い続けた。クラシックのコンサートに行くのも好きだった。子供だったから、つまらない演奏では遠慮なく寝たし、良い演奏の時は泣いた。一番記憶に残っているのは、FRIDRICH WILHELM SCHNURR(フリードリッヒ・ヴィルヘルム・シュヌア)がアンコールで弾いたla Campanella(ラ・カンパネッラ)!一つ一つの音が光り輝きながら自由に踊っているのが目に見えるようだった。ホール全体が、素晴らしい音楽に十分に満たされた幸福感と、奇跡のような時間がもうじき終わってしまうんだという切なさに包まれていた。演奏が終わって涙目で隣を見たら、母親が私以上にガンガン泣いていた。全ての人の心を動かす音楽の力、というものを感じた。
就職してからピアノを弾く時間と体力と気力がなくなり、そのうち実家を出てバレエにはまり、今ではすっかりピアノにも、クラシックのコンサートにも疎遠になってしまったが、また聞きたいな、とこの本を読んで思えた。コンサートに行くのは財政的に厳しいので、CDででも。
ということで、早速本書で紹介されていたセヴラックとグラナドスのCDを買ってみた。久しぶりに音楽の世界にどっぷり浸ろう。
そういえば、セヴラックはペルピニャンからスペインの国境に30キロ程近づいたところにあるセレという町で暮らしていたらしい。以前車で南仏を回った時、帰り道で通っていたのに!この本を読んでいたら絶対に寄ってセヴラックの愛した街並みを見てきたのになあ。それがとても残念。
![]() | ひまわりの海 求龍堂 2004-11 売り上げランキング : 194067 おすすめ平均 Amazonで詳しく見る by G-Tools |



