Archive for 1月 2010


映画鑑賞メモ:パリ・オペラ座のすべて

1月 31st, 2010 — 11:50pm

バレエに興味を持って、私が初めて買ったDVDはパリ・オペラ座の『ロミオとジュリエット』だった。モニク・ルディエールの踊りや演技に圧倒された。モニクもルグリも、パリ・オペラ座というバレエ団も好きになった。
昔のパリ・オペラ座にはカリスマ性とテクニックと表現力と音楽性を兼ね備えた素晴らしいエトワールが沢山いた。最近はどうも小粒というか、一時期の輝きを失っているように思えるが(特に女性ダンサーがいまいち)、それでもパリ・オペラ座には特別な思い入れがある。

そして、パリオペファンとしては 『パリ・オペラ座のすべてを見を見逃す訳には行かないのだった。いろいろな事情がありこの時期になってしまったが、終わる前に見に行けて良かった。期待通りの充実した内容。158分もあっという間だった。

日本ではほとんど観ることのできないコンテンポラリー作品の映像が沢山。興味深い作品が幾つもあった。断片的じゃなく全部観たい・・・!(でも日本とパリの距離は遠すぎる(涙)) 
クラシックは『くるみ』と『パキータ』。リハーサルでの講師陣の辛口コメントが笑えた。散々文句言ってるのに、三回転のピルエットをきめた途端に「まあ、いいか」的な評価に変わる現金さ(やっぱり全体の踊りより、ピルエットの回数なのね!?と切なく思った)。
クラスレッスンの風景をもう少し観たかったなあ。少しだけ映ったバーレッスンの映像を食い入るように見た。タンデュやバランセなど、基礎の基礎のレッスンを「ハートで踊って!」と注意しているのがとても印象深かった。
そして、裏方のスタッフたち。衣装制作や照明など、プロフェッショナルな人々の支えがあってオペラ座が機能しているんだ、ということもきちんと描かれていた。
さらに、ダンサーが配役に異議を唱えている場面や、年金制度改革について経営陣が説明する場面などもあって、普段知ることのない裏側を見た、という感じで大満足。

忘れてはいけないのが、芸術監督のルフェーブル女史。パリオペの映像には必ず、というほど登場する露出好きのおばちゃんなイメージしかなかったのだが、今回の映画を観て印象を改めた。この人がパリ・オペラ座を支えてるんだよな。金集めから、レパートリー、ダンサーの育成や配役まで、本当に「神」のように全てをマネジメントしている。
伝統あるバレエ団を守っているという自負心と責任感と、バレエ団の質を維持するための苦労が大変良く伝わってくる。若いダンサーの姿勢に危機感を抱いているのだ。コールドのダンサー達に「パリ・オペラ座のダンサーとしての自覚を持って欲しい。レベルを維持出来なければ我々の存在意義はないんだ」というようなことを説くシーンがあるのだが、そこで拍手をしたダンサー達に「拍手してる場合じゃない!」とマジギレするところはとても共感した。集団のレベルを一定以上に保つことの大変さは個人的によく分かる・・・

と、盛りだくさんな内容で大満足でした。もっと長くても良かったくらい。でも終わった瞬間に、私も含め大勢の人がトイレに向かったけどさ(苦笑)

ああ、でも本当にバレエってすごいな。素晴らしいな。バレエ好きはもちろん、バレエに興味のない人にこそ観て欲しい。バレエってひらひら優雅に踊るもんじゃないってことが分かるはず。




ロミオとジュリエット [DVD]

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2 comments » | @Tokyo, ballet, movie

読書メモ:ひまわりの海

1月 30th, 2010 — 1:54pm

うー!!何度も読み返したくなる本に久しぶりに出会った。『良い本だけどそのうちブックオフ』な本が多い中で、これは久しぶりの『一生本』だ。

ピアニストの館野泉さんが海外での演奏旅行について、好きな作曲家や曲について、脳溢血で右手が麻痺してしまってから左手で演奏を再開するまでの期間について綴った本なのだが、一つ一つのエピソードがどうというより(もちろん面白いんだけど)、本の持つ性格というか、雰囲気が、とにかく豊かで深くて、明るくて温かくて、音楽への愛情で溢れていて素晴らしい! 音楽を愛する人に共通する空気があるのか。私が習っていたピアノの先生を思い出させて、とても懐かしい気持ちになった。

私は3歳頃から就職するまで、約20年近くピアノを習っていたのだった。地味な練習を繰り返すのが嫌いで決して真面目な生徒ではなかったが、週一回のレッスンには通い続けた。クラシックのコンサートに行くのも好きだった。子供だったから、つまらない演奏では遠慮なく寝たし、良い演奏の時は泣いた。一番記憶に残っているのは、FRIDRICH WILHELM SCHNURR(フリードリッヒ・ヴィルヘルム・シュヌア)がアンコールで弾いたla Campanella(ラ・カンパネッラ)!一つ一つの音が光り輝きながら自由に踊っているのが目に見えるようだった。ホール全体が、素晴らしい音楽に十分に満たされた幸福感と、奇跡のような時間がもうじき終わってしまうんだという切なさに包まれていた。演奏が終わって涙目で隣を見たら、母親が私以上にガンガン泣いていた。全ての人の心を動かす音楽の力、というものを感じた。

就職してからピアノを弾く時間と体力と気力がなくなり、そのうち実家を出てバレエにはまり、今ではすっかりピアノにも、クラシックのコンサートにも疎遠になってしまったが、また聞きたいな、とこの本を読んで思えた。コンサートに行くのは財政的に厳しいので、CDででも。
ということで、早速本書で紹介されていたセヴラックとグラナドスのCDを買ってみた。久しぶりに音楽の世界にどっぷり浸ろう。

そういえば、セヴラックはペルピニャンからスペインの国境に30キロ程近づいたところにあるセレという町で暮らしていたらしい。以前車で南仏を回った時、帰り道で通っていたのに!この本を読んでいたら絶対に寄ってセヴラックの愛した街並みを見てきたのになあ。それがとても残念。

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