1か月に1度くらい、自宅エステをする。と言っても、好きな入浴剤を入れたお風呂に入るだけなんだけど。ミネラルウォーターを持ちこみ、顔にはマスクシートを貼り付けて、面白い本を読みながら、1時間ほど汗を流す。お肌の調子も持ち直し、スッキリしてとても気持ちが良い。
で、今日の自宅エステのお供が、こちら↓
世界は分けてもわからない (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書) (新書)も面白かったけど、それ以上に面白い。物の見方が変わる。見ている世界が変わる。生物に詳しい人なら当然既知のことも多いのかもしれないけれど、無知な私は読んでいるだけで驚きと感動でいっぱいになってしまう。
なぜ星の光を瞬時に見ることが出来るのか、なぜ他人の視線を感じるのか、も面白いし、カルパッチョの絵画の謎も面白かった(私も須賀敦子さんのファンだったし)。空気を読めないES細胞の話も面白い。
細胞について書かれた下記のような文章を読むと、なんていじらしいんだろう!と思う。生きているってすごい、と思う。
自己タンパク質の内部には、自己の情報が蓄えられている。生命現象という秩序を保つための情報がそこにある。しかし、宇宙の大原則であるエントロピー増大の法則は、情け容赦なくその秩序を、その情報をなきものにしようと触手を伸ばしてくれる。タンパク質は、絶えず酸化され、変性され、分解されようとしている。
細胞は必死になって、その魔の手に先回りしようとしているのだ。先回りして、エントロピー増大の法則が秩序を破壊する前に、エネルギーを駆使してまで自ら率先して自らを破壊する。その上ですぐにタンパク質を再合成し、秩序を再構築する。
細胞が行っているのは賢明な自転車操業なのだ。
そして発がんのメカニズムを解明しようとする研究者たちのエネルギー、治すすべのない病にかかっていた天才の話しをドキドキしながら読んでいるうちに、本書のテーマ、動的平衡に見事に繋がっている。全ての話しがここに結び付く。
この世界のあらゆる要素は、互いに連関し、すべてが一対多の関係でつながりあっている。つまり世界に部分はない。部分と呼び、部分として切り出せるものもない。そこには輪郭線もボーダーも存在しない。
そして、この世界のあらゆる因子は、互いに他を律し、あるいは相補している。物質・エネルギー・情報をやりとりしている。そのやりとりには、ある瞬間だけを捉えてみると、供し手と受け手があるように見える。しかしその微分を解き、次の瞬間を見ると、原因と結果は逆転している。あるいは、また別の平衡を求めて動いている。つまり、この世界には、ほんとうの意味で因果関係と呼ぶべきものもまた存在しない。
世界は分けないことにはわからない。しかし世界は分けてもわからないのである。
本当に面白いのでぜひ読んでみて!
そういえば、高校生の頃、この動的平衡の概念を教えてくれた人がいたなぁ。予備校の英語の先生だった。博識でユニークな人で、英語以外のことを沢山学んだ。哲学や音楽や人生について。授業の半分は受験と関係ない話だった。それが何より楽しかった。利己的遺伝子や動的平衡についてもそこで教えてもらった。学校の生物の先生は何を教えてくれただろう。ショウジョウバエの育成をしたことぐらいしか記憶がない。先生の顔も名前も思い出せない・・・